また、€とUS$の交換価値がParity(同等=1)に近づいてきた。
Euro/USDollarの適正値はどのあたりなのかを探ってみたい。
まずは、この50年の変動幅だ。
この50年でParityは6回起きている。今回が7回目だ。
EURO/USDの変動幅はかなり大きい。1985年ごろの0.5から2008年ごろの1.6まで3倍以上の値動きだ。
これだけ見ていても、Euro高/安なのか、USD安/高なのか、それぞれの通貨の実力は分からない。
そこで、Euro/YenとUSD/Yenの変動状況を見てみる。
なかなか三者を比べても明解な説明はできないが、いくつかのポイントが見えて来た。
まずは、EUROもUSDも大幅に安くなった2008年から2012年にかけてだが、リーマンショックと欧州債務危機の時期だ。たぶん、このころは、消去法で円が買われたのではないかと思う。リーマンの震源地は米国なので、EURO/USDが1.6まで跳ね上がったのは分かる。しかし、その後の2010年代の欧州債務危機時でもEURUSDが1.3から1.4だったのは、Euroの過大評価だった気がする。
2000年代初頭は、アジア経済危機、同時多発テロ、ITバブル崩壊、中南米経済危機など、世界経済は混乱の真っただ中にあった。このころは、消去法でUSDが選ばれ、EURO安(前回のParity割れ)となったのだろう。
では、昨今のUSD急騰、円安、EURUSDのParity割れ寸前の状況は、いつまで続くのだろうか? ロシアのウクライナ侵略、それと連動した欧州のエネルギー危機、そしてFRBのインフレ退治(利上げ攻勢)がどこまで続くのかによるが、米国や欧州の景気減速が起きつつある状況で、FRBのタカ派姿勢にも若干変化が見られるようになってきた。最善の解決策は、ウクライナが勝利または有利な条件での停戦を実現してくれることだが、全く先が見通せない状況である。
ということで、適正値に関する結論は出せないが、為替レートから何かを判断する場合は、三大通貨(UDS、EUR、YEN)の相互関係を理解していないと間違うということだ。更に言えば、新興国通貨(人民元、ロシアルーブル、南アフリカランド、ブラジルレアル、メキシコペソ)の動向も注視しなければいけない。